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裁判員制度トップページ > 裁判員選任手続のイメージ案

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(http://www.saibanin.courts.go.jp/iken.html)

裁判員選任手続のイメージ案

平成18年11月


裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」という。)が平成21年5月までに施行されます。
 裁判員法によって、裁判員選任手続の骨格は定められていますが、具体的な運用は、法律の委任を受けて設けられる最高裁判所規則に基づき行われることになります。
 最高裁判所では、このたび、裁判員法に基づく裁判員選任手続のイメージ案を作成しました。このイメージ案は、最高裁判所が、本年1月から2月にかけて全国8,300人(有効回答数5,172人)を対象にアンケートを実施し、裁判員制度への参加に関する国民の意識や、障害などの国民生活の実情について調査した結果等を踏まえて作成したものです(アンケートの結果は、本ウェブサイトで公表しています。)。
 最高裁判所としては、今後、法務省や日本弁護士連合会と協議を重ねるなどしながら、更に運用の在り方についての検討を深めていきたいと考えています。

第1 イメージ案のポイント

裁判員は、20歳以上の国民の間からくじで(無作為に)選ばれます。ただ、国民の皆さんには日常の生活があります。仕事もあります。したがって、裁判員の選任の手続は、「無作為に選ぶ」という原則を維持しながら、裁判員候補者となった国民の皆さんの負担をできる限り小さなものに抑えるということを考慮して運用されなければならないと考えています。
 具体的には、裁判員の選任に当たって、やみくもに数多くの裁判員候補者に裁判所までお越しいただいて手続を行うといった方法は、避けなければなりません。そこで、法律上裁判員となることができない人や、法律の規定に基づいて辞退を希望すればそれが認められることが明らかな人については、できるだけ早い時期に裁判所が事情を把握できるようにし、裁判員候補者として呼び出さないことにします。したがって、こうした方々は、裁判所にお越しいただく必要はありません。それ以外の方については、候補者として裁判所にお越しいただくことになりますが、質問票を有効に活用するなどして、裁判への参加が難しい事情があるかどうかについて、きちんと把握できる態勢を整えたいと考えています。

第2 選任手続の概要

このような基本的な考え方に立った選任手続のイメージは、以下のとおりです(末尾のイメージ図も御参照ください。)。

1 選任手続期日当日まで(第1段階)
(1) 裁判員候補者名簿の作成(名簿を使用する年の前年の12月ころに行う予定)
 地方裁判所は、管内の市町村の選挙管理委員会がくじにより選んで作成した名簿に基づき、翌年の裁判員候補者名簿を作成し(裁判員法20条から23条)、名簿に記載されたことを裁判員候補者に対して通知します(裁判員法25条)。

(2) 調査票の送付
 この通知と共に、地方裁判所から裁判員候補者に「調査票」を送付することを検討しています。裁判員候補者には、これに回答を記入して裁判所に返送していただくことになります。
 調査票では、以下の事項にあてはまる方がいないかどうかをお聞きすることを検討しています。

ア 警察職員、自衛官等の裁判員法の定める就職禁止事由(裁判員法15条1項)に該当する方

イ 70歳以上(裁判員法16条1号)、学生又は生徒(同条3号)、過去5年以内の裁判員、検察審査員等経験者(同条4号、6号)で、1年を通じて辞退を希望する方

ウ 重い疾病又は傷害があるため裁判員としての参加が困難で(裁判員法16条7号イ)、かつ、1年を通じて辞退を希望する方

エ 1年のうちの特定の時期(月)について、特に参加が困難となるため、その特定の時期については辞退を希望する方
 調査票による調査の結果、アに該当する方は、地方裁判所において裁判員候補者名簿から消除します(裁判員法23条3項)。イ、ウ、エに該当する方については、将来、個別の事件でくじにより候補者として選ばれた場合に、その事件を担当する裁判所において調査票を検討し、辞退が認められると考える場合には、呼出しをしないこととします(イ、ウに該当する場合には辞退が認められることになるでしょう。エに該当する時期にくじに当たった場合には、担当の裁判所が調査票の記載内容をみて、裁判員法が定める辞退事由に該当すると認めて呼出しをしないこととするかどうかを決めることになります。エに該当する時期をどのように国民の皆さんからお伺いするかについては、更に今後アンケート調査などを行った上で決めたいと思います。なお、事前の辞退を希望する方には、その裏付けとなる資料(身分証明書の写しなど)を添付していただくことを検討しています。)。

(3) 個別事件の候補者の選定

ア くじによる選定と呼出し
 裁判員裁判の対象となる事件が地方裁判所にかかった場合、地方裁判所は、個別の事件の裁判員候補者をくじにより選びます(裁判員法26条3項)。事件によってくじにより選ばれる人数は異なりますが、1件当たり50人から100人程度になると予想しています。
 その事件を担当する裁判所は、調査の結果に基づき呼出しをしないこととした候補者を除き、くじにより選ばれた裁判員候補者へ呼出状を送付します(裁判員法27条)。その時期は、原則として裁判員選任手続期日の6週間程度前とすることを検討しています。
 呼出状には、裁判員候補者があらかじめ日程の調整がしやすいよう、もし裁判員に選ばれた場合にはいつからどの程度の期間裁判員として務めていただくか(職務従事予定期間)を記載する予定です。

イ 質問票の送付
 裁判所は、呼出状と共に、質問票(裁判員法30条)を送付します。裁判員候補者には、この質問票に回答を記入していただき、裁判所に返送していただきます。
 質問票では、以下のような事項に関する質問をすることを検討しています。

(ア)  重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難であるか(裁判員法16条7号イ)、これを理由に辞退を希望するか。

(イ)  介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護又は養育を行う必要があるか(裁判員法16条7号ロ)、これを理由に辞退を希望するか。

(ウ)  その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあるか(裁判員法16条7号ハ)、これを理由に辞退を希望するか。

(エ)  社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあるか(裁判員法16条7号ニ)、これを理由に辞退を希望するか。

 質問票の記載から、上記(ア)〜(エ)に明らかに該当すると判断できる場合には、裁判所は、辞退を認めてその方の呼出しを取り消し、選任手続のためわざわざ裁判所までお越しいただかなくてもよいようにします。呼出取消しを希望される方には、その裏付けとなる資料を添付していただくことを検討しています。
 なお、裁判員法16条7号では、上記(ア)〜(エ)の事由のほかに、「政令で定めるやむを得ない事由」が辞退事由として挙げられています。この辞退事由の政令については、現在、政府において検討作業が進められています。政令が定められ次第、この点について質問票に記載するかどうかなど、手続のどの段階で国民の皆さんから事情をお伺いするかを決めていきたいと考えています。

ウ 長期の審理が予想される事件について
 なお、長期審理が予想される事件では、上記のように呼出状と共に質問票を送付するのではなく、例外的に、裁判員選任手続期日の8週間程度前にまず質問票のみを送付し、質問票の回答結果から辞退事由に該当すると認められた人を除いた上で呼出状を送付する、といった取扱いをすることも考えられます。長期の審理を要する事件については、仕事等の関係で辞退を申し出て認められる方が多くなると予想されるからです。
2 選任手続の当日の手続(第2段階)
(1) 呼出状を受け取った裁判員候補者には、裁判員選任手続期日当日、裁判所にお越しいただきます。裁判所では、まず、御本人であることを確認させていただいた上、裁判員候補者待合室(大部屋)でお待ちいただきます。そして、担当の係員が、これから行われる手続について、ビデオなどを利用しながら説明を行います。

(2) また、裁判所にお越しいただいた裁判員候補者には、当日用質問票が交付されます。当日用質問票では、事件の関係者でないかどうかなどについてお聞きします。

(3) その後、裁判員候補者は、別室の裁判員質問手続室(小部屋)で裁判長から質問を受けることになります。質問手続室には、裁判官3人と書記官のほか、検察官と弁護人(裁判所が必要と認める場合に限り被告人も)が立ち会います(裁判員法32条)。候補者のプライバシーを保護するため第三者が傍聴することはありません(裁判員法33条1項)。
  裁判長は、裁判員候補者が記入した質問票を読んだ上で、補充的に質問をします。検察官と弁護人も質問票を見ることはできますが、検察官と弁護人の手元にある質問票は、手続終了後、裁判所が回収します。陪席の裁判官、検察官又は弁護人(被告人)も、裁判長に質問をしてもらうよう求めることができます(裁判員法34条2項)。
 既に第1段階の手続で、法律上裁判員となることができない人や辞退が認められることが明らかな人は、そもそも呼出しがされないか、すでに取り消されていることになります。したがって、この段階では、裁判長は、主に、仕事や家庭を理由として辞退が認められるか微妙なケースについて、候補者に事情を確認する質問や、候補者が公平な裁判をしてくれるかどうかを確かめる質問などをすることになります。
 どのようなケースについて辞退が認められるのかは、国民の皆さんの大きな関心事だろうと思います。しかし、これは法律に定められたそれぞれの辞退事由(裁判員法16条7号)に当たるかどうかを、担当の裁判所がケース・バイ・ケースで判断するものであり、法律に定められた以上に詳しい基準等をあらかじめお示しすることは困難です。もっとも、皆さんの生活上、仕事上の実情に即して妥当な判断がなされなければ、裁判員制度が皆さんの協力を得られないことはいうまでもありません。裁判所は、国民の皆さんの生活や地域の実情に踏み込んだ、きめの細かい調査を、今後も繰り返して実施し、国民生活等の実情に即した適切な判断ができるよう、努力していきたいと考えています。
 なお、障害者の方には、例えば質問票で具体的な事情を伺った上、あらかじめ適切な措置を検討するなど、裁判員として務めていただく上で支障が生じないよう、裁判所として配慮をしたいと考えています。

(4) 質問手続は、原則として裁判所にお越しいただいた裁判員候補者全員に対して1人ずつ行うことを考えています。ただし、あまりに大勢の方がお越しになり質問手続に過度に長い時間がかかることが予想されるような場合には、裁判所の判断で、選定のために十分と考える数の裁判員候補者に対してだけ質問をし、残りの裁判員候補者には不必要に待機していただかないようにすることも検討したいと考えています。裁判長からの質問は、過度にプライバシーにわたることなく、必要最小限度に抑えたものにします。

(5) 裁判員候補者に対する質問手続が終わった後、裁判所は、辞退を認めるかどうか、不適格事由に該当しないかどうかなどを判断します。その上で、残った方々について、検察官及び弁護人は、原則としてそれぞれ4人ずつ(補充裁判員が置かれる場合にはこれに応じてその人数は増えます。)、理由を示さない不選任の請求を行うことができます(裁判員法36条)。
 理由を示さない不選任の請求などは、裁判員候補者の面前では行わないようにするなど裁判所としても裁判員候補者の心情に十分配慮をして行います(裁判員法33条3項)。
  これらの手続の後、必要な場合にはくじも交え、最終的にその事件の裁判員6人(及び必要な場合には補充裁判員)が選ばれることになります(裁判員法37条1項、2項)。

(6) 通常の事件であれば、午前中に裁判員選任手続を終了し、午後からは事件の審理を開始することを予定しています。

(7) なお、調査票、質問票や当日の質問手続の記録などには、国民の皆さんのプライバシーにわたる内容が含まれていますので、外部に漏れることがないよう、厳重に管理をします。
3 裁判員選任後の手続
(1) 裁判員として選任された方々には、裁判長から、裁判員としての権限、義務その他必要な事項の説明を受け(裁判員法39条1項)、法令に従い公平誠実にその職務を行うことの宣誓を行っていただきます(同条2項)。

(2) 裁判員候補者として裁判所にお越しいただいたものの、裁判員に選ばれなかった方々にも、日当と旅費が支給されます(裁判員法29条2項)。

(3) 裁判所には、裁判員が評議をしたり、休憩をしたりするための専用の部屋が設けられます。裁判員の方々は、そこに手荷物などを置き、裁判に臨んでいただくことになります。
4 終わりに
 以上が選任手続のイメージ案ですが、この後、裁判員となった皆さんには法廷での審理に参加していただくことになります。
 裁判所では、選任手続において皆さんの負担に配慮するだけでなく、審理においても裁判員の皆さんの負担が重くなりすぎないように配慮するための様々な取組みを行っています。皆さんの貴重な社会経験等による多様な視点や感覚などを刑事裁判に反映させるために、法廷での審理を見て聞いて理解できるものにするよう、検察庁、弁護士会と共に、これまで全国で繰り返し模擬裁判を実施するなどして、分かりやすい審理をいかに実現していくかについて検討を重ねています。また、審理の充実及び迅速化に向けた取組みの結果、審理期間が大幅に短縮されることが見込まれており、刑事裁判は、日程の面でも国民の皆さんに参加してもらいやすいものになります。今後も、裁判員と裁判官がチームを組んで、充実した審理をして良い結論が出せるよう、刑事裁判手続の在り方についても検討を深めていきたいと考えています。

裁判員選任手続のイメージ