バックナンバー第5号(2007年6月27日)

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裁判員制度メールマガジン第5号 2007年6月27日発行

裁判員制度ウェブサイト http://www.saibanin.courts.go.jp/
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夏の訪れが感じられるような,緑が目にまぶしい季節となりました。裁判
員制度メールマガジン第5号をお届けします。
なお,バックナンバーは裁判員制度ウェブサイトのメールマガジンのペー
ジにてご覧いただけます。

━━■目次■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■「トピックス」本格的な裁判員模擬選任手続が行われました。
■「新着情報」裁判員規則ができました。
■「新着情報」裁判員法が一部改正されました。
■「新着情報」字幕付きの裁判員制度広報用映画がご覧いただけます。
■「編集後記」
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「トピックス」本格的な裁判員模擬選任手続が行われました。
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東京地方裁判所では,5月30日(水)から3日間,模擬裁判を実施しま
した。これまでも全国で多数回にわたって模擬裁判を実施してきましたが,
今回の模擬裁判では,合計20の企業等の御協力を得て,裁判員役の候補者
名簿を作成し,そこから裁判員役を選ぶという,実際の裁判員裁判において
行われる選任手続により近い方法(模擬選任手続)を採用しました。

○裁判員役の選び方
今回の模擬選任手続の具体的な方法は,まず,企業等から提供していただ
いた従業員名簿をまとめたものから50名の方を候補者として選び,模擬選
任手続の日の6週間前に,模擬裁判の期間裁判員役として参加していただけ
るかどうかお尋ねする質問票を送りました。
次に,質問票で参加に支障があるとして辞退の申出をされた方々について,
辞退が認められるか判断をしました。例えば,
(1)模擬裁判期間中に海外で行われる会議に急きょ出席しなければならなく
なった部長職の方
(2)模擬裁判期間中に担当する会議の意見書取りまとめ業務を行わなければ
ならない課長職の会議スタッフの方
(3)模擬裁判期間中に奥様の出産が予定されている方等
について辞退が認められました。
模擬選任手続当日は,裁判所にお越しいただいた候補者の方全員に対して
個別に質問をし,裁判員役を務めていただくのに支障がないか確認するなど
した後,くじで6名の方を裁判員役として選びました。
選ばれた裁判員役の方には,その当日から模擬裁判の審理に参加してもら
いました。

○事案のあらまし
事件は,被告人(女性)が愛人関係にあった被害者(男性)から暴行を受
け,被害者の背中や胸を包丁で刺して殺したというものでした。被告人は,
殺すつもりはなかったし,正当防衛であると主張しましたが,審理後の評議
において,裁判員役と裁判官(現役の裁判官3名)とが意見を出し合い,白
熱した評議を行った結果,(ア)殺意は認められる,(イ)正当防衛は成立
しないが過剰防衛が成立するとして,懲役4年(実刑)という結論に至りま
した。

○裁判員役の方の御意見
模擬裁判後の意見交換会では,
「評議では,リラックスできる雰囲気の中で,自分の思うところを話すこ
とができた。」
「これまで遠かった司法が身近になった。」
といった声が聞かれました。
一方,
「選ばれるかどうかがはっきりしないので,どこまで仕事の都合をつけて
くるのか難しかった。」
といった御意見もありました。

このような本格的な模擬選任手続は,今回が全国で初めての試みでした。
裁判所では,御協力いただいた方々からの貴重な御意見を踏まえ,引き続き,
国民の皆様の幅広い御参加を得られるような制度運営について検討を続けて
いきます。また,今後もこのような模擬選任手続,模擬裁判を繰り返し実施
していきますので,皆様の御協力をお願いいたします。

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「新着情報」裁判員規則ができました。
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裁判員選任手続の具体的な手続等を定める「裁判員の参加する刑事裁判に
関する規則」が,6月13日(水)に制定されました。
この規則は,昨年11月に公表した「裁判員選任手続のイメージ案」に沿
ったものとなっています。また,裁判員に支払われる日当の額や裁判員裁判
がどこの地方裁判所で行われるかなどが定められています。
概要を裁判員制度ウェブサイトに掲載していますので,是非ご覧ください。
http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/07_06_27_kisoku_seitei.html

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「新着情報」裁判員法が一部改正されました。
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5月30日(水)に公布された裁判員の参加する刑事裁判に関する法律等
の一部を改正する法律により,新しく部分判決制度が設けられました。
裁判員制度の下において,同じ被告人に対して複数の事件が起訴され,す
べての事件を併せて審理した場合,事件の内容によっては,審理期間が著し
く長くなるなど,裁判員の負担が著しく大きくなることがあり得ます。
そこで,このような場合の裁判員の負担を軽減するために,裁判所は,事
件をいくつかに区分し,区分した事件ごとに担当する裁判員を選んで審理し,
有罪か無罪かだけを先に判断する部分判決をし,この部分判決を踏まえて,
最後の事件を担当する裁判員が裁判官とともに,全体の事件についてどのよ
うな刑にするかを決めることができるようになりました。

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「新着情報」字幕付きの裁判員制度広報用映画がご覧いただけます。
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裁判員制度ウェブサイトでは,裁判員制度広報用映画「評議」及び中高生
向け裁判員制度広報用アニメーション「ぼくらの裁判員物語」の動画を既に
好評配信中ですが,その字幕付きの動画を新たに配信することにしました。
是非ご覧ください。

・「評議」
http://www.saibanin.courts.go.jp/news/flash2.html

・「ぼくらの裁判員物語」
http://www.saibanin.courts.go.jp/news/flash5.html

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「編集後記」
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今回のメールマガジンは,模擬選任手続等への取組,法律の改正,規則の
制定など,盛りだくさんの内容でお届けしました。いずれも,あと2年以内
に始まる裁判員制度を円滑に実施できるようにするための準備の一つです。
ところで,とかく難しいと言われる裁判のルールですが,これを裁判員の
皆さんに分かりやすく説明するにはどうしたらよいかも,裁判官をはじめと
する法律家が十分準備しておかなければならない課題です。規則の制定に当
たっては,この説明内容についても併せて議論されました。ここで,その説
明例の一部を紹介させていただきます。被告人を有罪と判断するための必要
な立証の程度の説明例です。
「過去にある事実があったかどうかは直接確認できませんが,普段の生活
でも,関係者の話などをもとに,事実があったのかなかったのかを判断して
いる場合があるはずです。ただ,裁判では,不確かなことで人を処罰するこ
とは許されませんから,証拠を検討した結果,常識に従って判断し,被告人
が起訴状に書かれている罪を犯したことは間違いないと考えられる場合に,
有罪とすることになります。逆に,常識に従って判断し,有罪とすることに
ついて疑問があるときは,無罪としなければなりません。」
今後も,分かりやすい裁判を実現するための工夫など,十分な準備に努め
ていきます。
(編集部)

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