「裁判員等選任手続に関する調査研究」結果

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平成19年4月20日

  1. 最高裁判所は,裁判員の選任手続の制度設計及び運用について,国民の生活実態等を踏まえた少しでも負担の少ないものにするための検討を重ね,昨年11月に,平成17年度に最高裁判所が実施した全国アンケートで明らかになりました国民の生活実態等をも踏まえ,「裁判員選任手続のイメージ案」を公表しました。このイメージ案は,調査票や質問票により国民の障害事由等をできるだけ早期に把握し,辞退事由等が認められる場合には選任手続のために裁判所まで来ていただかなくてもよいような配慮等をしたものであり,現在,これに沿った形の最高裁判所規則の制定作業を行っているところです。
  2. 裁判員候補者の辞退申立てに対する判断については,各裁判員候補者の参加に対する具体的な障害事由を踏まえ,その生活実態に照らして過度の負担を強いることのないような運用をしていく必要があると考えておりますが,上記の全国アンケートでも,国民が裁判員として参加するに当たり,それぞれの職業や社会生活上の立場が障害事由として大きな関わりを持つことが明らかとなりました。そこで,最高裁判所としては,社会生活上の事情の中でも,特に辞退が認められるか否かの判断が微妙であると考えられる仕事上の都合をより具体的に調査し,辞退事由に関する判断の参考となる資料を収集するため,今般,株式会社野村総合研究所に委託して,平成18年10月から平成19年2月にかけて全国規模のインターネットアンケート調査及び国民の社会属性に応じて組成したいくつかのグループについてグループインタビュー調査を実施しました。
  3. その結果,業種別など23グループについて,そのグループごとの参加の障害となる事情を概括的に把握することができましたので,その結果を,グループごとに「参加障害事由分析表」にまとめました。この分析表では,各グループごとに,忙しい時期,代替が難しいポジションは何か,参加による仕事への影響などといった障害事由の要素を整理してまとめてありますが,これだけを見ても,一口に障害事由と言っても,各グループにより一様でないことが明らかとなりました。
  4. 今後は,この結果を踏まえ,地域別の事情や,同じ業種の中での企業規模や職種による違いなど,国民の抱える参加の障害となる事情を更にきめ細かく調査してその結果を蓄積し,辞退事由に関し,より的確に国民の生活実態を踏まえた判断ができるような準備を進めてまいりたいと考えています。

調査に御協力いただいた皆様には感謝申し上げます。